大判例

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東京高等裁判所 昭和36年(う)24号 判決

被告人 飯沼茂夫

〔抄 録〕

所論の要旨は、原判決は被告人飯沼の本件所為に対し入場税法第二十五条第一項第一号を適用しているが、これは法律の適用を誤つたものである、本件は入場券の半片を入場者に返さず、入場料金の申告を偽つたものであるから、同法第二十六条第一号、第三号に該当するものであつて、同法第二十五条第一項第一号は本件のような行為以外のもつと悪性の強い方法により入場税を免がれ又は免がれようとした場合に適用すべきものであるというのである。しかし同法第二十六条第一号は同法第十条所定の申告を怠り又はその申告を偽れば、ただそのことのみにより、また同条第三号は所定の入場券の呈示を求めその半片を切り取り、他の半片を当該入場者に返さなかつた場合、ただそのことのみにより、それぞれ直ちに犯罪が成立するのであつて、その行為者が入場税を免がれようとしたこと又は入場税を免がれたことを犯罪の成立要件としていないのであるが、同法第二十五条第一項第一号は、同法第二十六条第一号又は第三号の行為をも含めるすべての不正な行為により入場税を免がれようとしたり、又は免がれた場合に成立する犯罪と解すべきところ、被告人飯沼の本件所為は、原判示のように入場税を免がれる意思をもつて入場券の半片を入場者に返さず、これを再度使用し、入場税課税標準額である入場料金を実際の額より過少に申告する等の不正の行為をしたものであるから、その行為はまさしく入場税法第二十五条第一項第一号に該当するものといわなければならない。それ故原判決には所論のような法律の適用を誤つた違法はなく、論旨は理由がない。

(久永 高野 河本)

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